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[ 歴史・石碑 ]

2023.12.27

【康生さんぽ】岡崎初の商店街となった連尺通りで、「ふくらすずめ」のボラードを探してみよう!

籠田公園からシビコの方向へ歩いていると、真ん丸な小鳥のタイルが埋め込まれた「ボラード」を見ることがあります。
これがあるのは、「連尺通り(れんじゃくどおり)」の歩道です。
ひょうきんな顔をしていますが、江戸時代から伝わる、町のシンボルがもとになったイラストなのはご存知でしょうか。

今日はこの鳥のイラストの解説と、連尺通の歴史についてご紹介していこうと思います。

連尺町は、2024年に開市(かいし)から500年を迎える、岡崎で一番古い商店街

連尺町は、2024年に開市(かいし)から500年を迎える、岡崎で一番古い商店街

籠田総門から北へ向かい、「東海道二七曲り」の7番目の角を曲がったところが、連尺町(れんじゃくちょう)です。

この町は、岡崎で最も古い商店街とされ、2024年には、初めて「楽市」が開かれてからちょうど500年を迎えます。

その歴史をたどると、時は家康公の祖父・松平清康の時代までさかのぼります。
清康公はまず安城から岡崎へと進出し、乙川の南岸にあったお城を現在の岡崎城の位置へ移しました。
清康公の腹心である大久保忠成(おおくぼただしげ)は、城下町を発展させるために城の東側(現・連尺町の辺り)に、出店税を免除した「楽市」を開き、多くの行商人がこの地に集まるきっかけを作りました。

忠成が開いた市場には、商品をいっぱい背負った行商人たちが多く集まり、活発な商いが始まりました。
この、荷物を固定して背負う道具を「連尺(れんじゃく)」といいます。
江戸時代初期には、この市が開かれる通りを連尺町と呼ぶようになり、岡崎城下の商店街の先駆けとなりました。

連尺通りの歩道を歩くと、そこかしこに雀(すずめ)のイラストタイルを埋め込んだ”ボラード”を見ることができます。
これは、連尺町の標章である「ふくらすずめ」。

日本の冬鳥・レンジャクに掛けて、連尺を背負った商人を「連雀→すずめ」と呼んだことからきているようです。

行商人の背負う背負子(しょいこ)の「連尺」と、鳥の「連雀」を掛けた、江戸時代の言葉あそび

行商人の背負う背負子(しょいこ)の「連尺」と、鳥の「連雀」を掛けた、江戸時代の言葉あそび

『日本野鳥歳時記』(大橋弘一著) に記述があったので、以下に引用します。

***
昔、行商人のことを〈連雀衆〉などと呼んでいました。
背負子を背負った姿がヒレンジャクやキレンジャクの特徴的な形の翼を連想させたからといわれます。
行商人は渡り鳥のように移動するという意味も込められていたようです。
木製の背負子そのもののことを〈連尺〉といい、音が同じ〈連雀〉の字を当てるようになりました。

江戸時代の城下町など、行商人が連尺のまま荷物を下す場所はやがて商業地として栄え、〈連雀〉〈連雀町〉といった地名になりました。
東京都三鷹市、埼玉県川越市、群馬県高崎市、静岡県掛川市などにその地名は現存しています。
***

「ふくらすずめ」は、商品でいっぱいに膨れた連尺を背負う行商人たちを「ふくれた雀(すずめ)」に例えた江戸時代の人々のユーモアだと思うと、とても興味深いですね。

「呉服通り」の名で親しまれた連尺通りは、戦前はあこがれの繁華街だった

「呉服通り」の名で親しまれた連尺通りは、戦前はあこがれの繁華街だった

岡崎城と共に連尺町は発展していきました。
次第に裕福な商家が増え、俳句や茶もたしなむ教養ある旦那たちは「連尺衆(れんじゃくしゅう)」と呼ばれました。

町政を担う「町年寄(まちどしより)」も連尺町から選ばれ、町人の中でも特別視される存在だったそうです。

江戸時代創業の店舗も、連尺通りにはいくつも残っていて、おおがやさん、ラ・ひまわりさん、フジイビニールさんなども、時代に合わせながら今に伝わる商家です。
(写真は、創業200年を超える呉服店の”おおがや”さん)

大正5年、岡崎市が誕生したころには、高級呉服店が並ぶ連尺通りは「呉服通り」と呼ばれ、道は綺麗に舗装され、夜にはスズラン灯がともる、とてもお洒落な繁華街だったそうです。

連尺通りだけではなく、一本北にある八幡町の二七市通りにも、当時の面影を見ることができます。
通りを歩くと、「岡田屋(おかだや)」という、すでに閉業した京染屋さんの屋号を見ることができます。
数年前までは、横並びに「亀屋(かめや)」という京染屋さんも建っていました。
(こちらの建物は、すでに取り壊されています)
京染屋さんは、お客様には先に白生地を売っておいて、必要な時に誂えの見本帳からお客様が柄を選んで京都の染屋さんへ発注するお店だそうです。

このように、現在も呉服屋さんが並ぶ連尺通や、二七市通りの京染屋さんの跡地を眺めていると、着物がまだ一般的だった時代の名残を、まちなかに感じ取ることができます。

およそ500年。長きに渡り商いが続くまち、連尺町の魅力。

およそ500年。長きに渡り商いが続くまち、連尺町の魅力。

ふと目に入ったボラードには、とても面白い「連尺町」の歴史が隠されていました。
歴史が長いということは、目に入る何気ないシンボルや風景の中に、思いもよらないような意味が隠されている可能性があるということ。
そう思って歩くと、今までとちょっと違った景色が見えてくるかもしれません。

連尺通りを歩くときは、ボラードの「ふくらすずめ」をぜひチェックしてみてくださいね。

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