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[ 企画 ]
2025-01-20
【corin30特集】岡崎市・開市500年記念特集② まちのルーツを探ってみよう!
岡崎市の開市から500年。
康生を中心としたこのエリアは、約500年の長きに渡り、「商いのまち」が続いています。
500年前の間に、いったい何が起こっていたのでしょうか?
今回の特集では、まちのルーツを探っていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
「忠臣・大久保忠茂」城を攻め落としたご褒美に市場を開く権利をもらう
2024年は『岡崎の開市500年』として、市内各所でイベントが行われました。
岡崎開市とはどんな出来事なのでしょうか。
江戸時代初期の史書『三河物語』に、この五百年前の出来事が語られています。
ときは大永四年(1524)松平家の若き当主・松平清康(家康公の祖父)の家臣、大久保忠茂は、当時岡崎を支配して清康と対立していた西郷信貞の城のひとつ、山中城(岡崎市舞木町・羽栗町)に奇襲をかけ、鮮やかに攻め落とします。
要衝である山中城を失い、力を失った西郷信貞は、自分の娘を清康の妻として相続というかたちで、清康に岡崎城を明け渡しました。
最小限の戦いで岡崎城を得ることができた清康は、功労者の大久保忠茂に、なにか褒美を取らせようと提案します。
ですが忠茂は、自分はもう年寄りで、上様は若く領地も少ないので、褒美はいりませんと断ります。
それでも褒美を与えたい清康に忠茂は、市場を監督する役職をくださいと申し出て許されました。
忠茂は、清康の新たな岡崎城の大手門前に市場を開き、市銭(出店者が出す手数料)を免除しました。
この『楽市』に近隣から、「れんじゃく」という背負い籠に商品をいっぱい詰めて移動する行商人、『連尺商人』たちが大勢集まり、商売をはじめ、城下は活気づきました。
岡崎城下の商業は、ここから始まったのです。
『れんじゃく』という地名は、浜松や掛川、江戸など徳川ゆかりの地にあり、城下の商業を担いました。
そのルーツは、もしかしたら岡崎にあるのかもしれません。
100年前に盛大に祝われた「開市400周年」
この、大久保忠茂が山中城を攻略、城下に市を開いた大永四年を岡崎開市元年として、それから四百年後の大正十三年には、『岡崎開市四百年祭』が盛大に開かれました。
「♪祝えいざ岡崎開市四百年」
と、このために作詞作曲された祝賀行進曲が華々しく歌われ、岡崎公園では記念式典や市民祝賀園遊会、花火大会などが華々しく催されました。
松平清康、大久保忠茂の墓前では供養祭が、そして、岡崎開市の契機となった山中城跡には、大久保忠茂の子孫の大久保忠言子爵が揮毫、岡崎名誉市民である地理学者の志賀重昴の碑文を刻んだ、山中城址碑の除幕式が行われました。
この除幕式のために、山中城の登山道が新たに整備されることになり、多くの市民が大久保忠茂の活躍をしのんで山中城に登りました。
この登山道をたどって、現在の私たちも安全に登城することができるのです。
空襲も乗り越え、今もなお商いの道はつづく
家康公時代の城下の成長、その後城主となった田中吉政の画期的な開発と城郭整備で、江戸時代の岡崎は、街道有数の都市へと生まれ変わり、廃藩置県のあとも賑わいは失われませんでした。
しかし昭和二十年、空襲は岡崎のまちを焼け野原にしました。
人々の生活を支えた青空市場や露店は、のちの二七市の原型となります。
その後十年をかけてまちは再興、戦災復興モデル都市に選ばれる程に再建されました。
車社会にあわせて、中心部にあった公的施設は郊外に移転、そしてスポーツガーデンなどの娯楽施設や大型商業ビルが立ち並ぶ、三河有数の娯楽と商業の街になったのです。
これらの建物は老朽化により徐々に失われ、いまは高層マンションへと変化しつつあります。
家康公が生まれ育った岡崎城下の地は、住まいと公園や商店の距離がほど近い、住みやすく優しいまちとして歩んでいます。
「商いのまち・岡崎市」は江戸時代から連綿と続く
今回は、岡崎市にスポットを当てた歴史をご紹介しました。
岡崎城下では商業が活発ですが、それは開市から連綿と続くものでした。
大久保忠茂が松平清康に「市場を監督する役職をください」と言わなければ、「商いのまち」としていま存在していなかったのかもしれません。
空襲で一度焼けてしまいますが、その後復興し、また新たに市場が作られていたことにも驚きです。
復興に尽力した人々の苦労は想像しきれないものだったことでしょう。
そんな歴史にも思いを馳せると、町並みに立つお店の数々が今までよりもさらに素晴らしいものに見えてくるような気がします。
昔から続くこの「商いのまち・岡崎市」。
次回は、江戸時代に、当時の岡崎を日本有数の商業都市へと成長させた、「田中吉政の都市計画」をお届けします。
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①連尺通り