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2024-03-09

【連載】カクキュー八丁味噌を愛した著名人たち⑧

【八丁味噌】は、米麹や麦麹を用いず、原材大豆の全てを麹にした豆麹で作られる豆みそで、江戸時代初期より愛知県岡崎市八丁町(旧八丁村)で造られることから八丁味噌と呼ばれるようになりました。
地元で古くから造り伝えられてきた豆みそを、岡崎で生まれた徳川家康公が珍重し、幕府を開くと同時に江戸に伝えて全国に広まったとする説もあります。

この、岡崎が誇る伝統調味料は、長い歴史の中で多くの人々に親しまれてきました。
カクキュー八丁味噌の史料室、及び史料館には「荷物発送簿、領収書、払込通知書」等、多くの資料が残っています。その中で、明治期から昭和期にかけて八丁味噌を愛用した著名人たちを、資料写真と共に「カクキュー八丁味噌公式サイト」より引用してご紹介します。

【引用元】カクキュー八丁味噌を愛した著名人

股旅物の創始者ともいわれた小説家、長谷川伸(はせがわしん)

股旅物の創始者ともいわれた小説家、長谷川伸(はせがわしん)

1884年~1963年 神奈川県出身。小説家。劇作家。

実家の破産・小学校中退・一家離散などを体験したのち、新聞記者を経て作家デビューし、多くの作品を残しました。「沓掛時次郎」「関の弥太っぺ」「一本刀土俵入」や、4歳の時に母と生き別れた体験を元にした代表作「瞼の母」などを発表し、股旅物の創始者といわれました。
長谷川伸は「瞼の母」を発表した3年後に、生き別れた母と実に47年ぶりの再会をはたしました。当時の新聞では、小説以上に奇遇であると大々的に報道されました。中山道番場宿の蓮華寺には「瞼の母」の主人公の忠太郎にちなんで忠太郎地蔵尊が奉られています。

「荒木又右衛門」「日本捕虜志」などを発表し、敵討ち・捕虜志の研究をライフワークとしました。大衆文学の新人育成にあたり、山岡荘八、池波正太郎、村上元三、平岩弓枝らを輩出しました。遺志により1966年には長谷川伸賞が設立されました。

カクキュー史料室には昭和時代に自宅宛に味噌を送った記録が残っています。自宅は東京都品川区。

関連リンク:八丁味噌を愛した著名人『山岡荘八』

幼稚園の設立や岡崎工業高校の運営・県立移管にも尽力した、服部太郎吉(はっとりたろきち)

幼稚園の設立や岡崎工業高校の運営・県立移管にも尽力した、服部太郎吉(はっとりたろきち)

1860年(万延元年)~1941年(昭和16年)
愛知県出身。岡崎市名誉市民。
三州釜・服部公益財団の創始者。

鍋釜、仏具類修繕を業とする服部家へ養子に入った後に、岡崎藩御用鋳物師26代安藤金得に師事して鋳造技術を習得し、三州釜を完成させました。販路は海外まで及び、岡崎主要生産物のひとつとなりました。

地域社会の福利向上の為に服部公益財団を設立し、幼稚園の設立や岡崎工業高校の運営・県立移管などに尽力しました。

2009年(平成21年)6月3日から14日まで、岡崎市美術館で鈴木智彦「三州釜百年の足跡」写真展が開催されました。

カクキュー史料館には、大豆を蒸すために使用していた菰巻きの甑の下に「三州 サ(Λの下にサ)」の銘入りの服部釜が展示されており、カクキュー史料室には大正時代に服部鋳造所から送られた年賀状が残っています。

治水・護岸分野で大きな力を発揮した土木技術者、服部長七(はっとりちょうしち)

治水・護岸分野で大きな力を発揮した土木技術者、服部長七(はっとりちょうしち)

1840年~1919年
愛知県出身。土木技術者。人造石工法(長七たたき)発案者。緑綬褒章受章。岡崎市名誉市民。
コンクリートが普及する前、消石灰と真砂土を混ぜ水で練った土を叩き固めそこに花崗岩などの切り石を積み上げていく人造石工法を発案しました。

1877年第1回内国勧業博覧会の泉水池工事を請け負った時に品川弥二郎、田中芳男の知遇を得ました。主な事業に皇居学問所、名古屋港、四日市旧港の潮吹き防波堤(国の重要文化財)など全国各地の港、堤防工事を行い日本の近代化に大きく貢献しました。その後、時代を越えてカンボジアの世界遺産アンコール遺跡の修復に「長七たたき」が採用されました。晩年は岡崎市の岩津天満宮の再興に力を注ぎ、中興の祖と仰がれました。

2019年に岡崎市のペン画家・柄澤照文氏が作成した「岡崎八丁図屏風」に明治天皇巡幸に際して服部が1878年に築造した夫婦橋架橋工事の様子が描かれています。
カクキュー史料室には16代早川休右エ門が服部宛に送った文書の発送控えが残っています。

淡谷のり子の「雨のブルース」や笠置シヅ子の「東京ブギウギ」などを手掛けた作曲家、服部良一(はっとりりょういち)

淡谷のり子の「雨のブルース」や笠置シヅ子の「東京ブギウギ」などを手掛けた作曲家、服部良一(はっとりりょういち)

1907年~1993年
大阪府出身。作曲家。編曲家。作詞家。国民栄誉賞受賞。日本作曲家協会や日本レコード大賞の創設に尽力。

コロンビアの専属作曲家となり多くの歌謡曲やJ-POPを手掛けました。代表作として淡谷のり子の「雨のブルース」、笠置シヅ子の「東京ブギウギ」、他多数。

カクキュー史料室には1966年に作成された‘66CMソング全国のど自慢コンクール参加CMソング「八丁味噌の歌」が残されています。作詞・富山紫峰、作曲・多記裕介、歌・とりおこいさんず。

又、カクキューのアルバムに東京サンケーホールで開催されたコンクールの様子の写真が残されていて、審査員の1人に服部良一の名前があります。

昭和時代にカクキューで作成されたパンフレット「八丁味噌の生いたち」、平成時代に作成されたカクキューの社史「山越え谷越え350年」に「八丁味噌の歌」が紹介されています。

昭和時代に服部良一宛に味噌を送った記録が残っています。

伝統演劇新派を代表する女形役者、花柳章太郎(はなやぎしょうたろう)

伝統演劇新派を代表する女形役者、花柳章太郎(はなやぎしょうたろう)

1894年(明治27年)~1965年(昭和40年)
伝統演劇新派を代表する女形役者。人間国宝。文化功労者。
代表作に泉鏡花の「瀧の白糸」「婦系図」、川口松太郎の「明治一代女」等。

1922年(大正11年)に発表した菊池寛の長編小説「火華」は観光地としての愛知県蒲郡市と常磐館の魅力を全国に知らしめました。当時の常磐館の名物はカクキューの八丁味噌を使用した「アサリ汁」と「アサリとワケギのぬたあえ」でした。

同年、東京日日新聞と大阪毎日新聞に連載。道頓堀の浪花座の「東京新派」公演として花柳章太郎出演の「火華」が上演されました。その後、東京の松竹蒲田撮影所で諸口十九らにより映画化されました。

カクキュー史料室には昭和時代に御本人から東京都台東区の自宅宛に味噌の注文をされた記録が残っています。

※「菊池寛」について詳しくは「カクキューの八丁味噌を愛した著名人~菊池寛~」をご覧ください。

関連リンク:八丁味噌を愛した著名人『菊池寛』

カクキューの14代当主早川休右衛門の妻でもある歌人、早川千代(はやかわちよ)

カクキューの14代当主早川休右衛門の妻でもある歌人、早川千代(はやかわちよ)

1808年(文化5年)~1894年(明治27年)
愛知県豊橋市出身。カクキューの14代当主早川休右衛門の妻。
歌人で香川景嗣・公阿・佐々木弘綱に師事。

「類題三河歌集」「明治新題余力詠歌集」に入集。
三河の歌人石川千濤の選んだ「三河36人撰」に千代が選ばれている。
又、「こしかたを手にとるばかりうつしみる文こそ世々のかたみなりけれ」が村上忠順編「類題和歌玉藻集」に入集されています。

80歳を記念して歌集「塵泥集(ちりひじ集)」を刊行。
カクキューに版木が保管されています。

カクキュー史料館入り口にある「早川氏榎の碑」は、千代の夫が遺言し、子の15代当主が建立したものです。

平成27年発行の「江戸期おんな表現者事典」桂文庫編・柴桂子著に千代が紹介されています。

「カクキュー八丁味噌を愛した著名人たち」は、いかがでしたか?

「カクキュー八丁味噌を愛した著名人たち」は、いかがでしたか?

〇長谷川伸(小説家・劇作家)
〇服部太郎吉(三州釜・服部公益財団の創始者)
〇服部長七(土木技術者)
〇服部良一(作曲家・編曲家・作詞家)
〇花柳章太郎(女形役者)
〇早川千代(歌人)
今回はこちらの6名の著名人をご紹介させていただきました。

卓越した土木技術により名を馳せた服部長七ですが、なんともともとは饅頭屋を営んでいたようです。
製造に使う水道水が雨になると汚れてしまい困っていた経験がきっかけで、上水道の改良を志すようになったのだそう。
饅頭屋の経験がきっかけに、そして上京前の左官業(建物の壁や床、土塀などを、こてを使って塗り仕上げる仕事のこと)の修行経験が大いに活きた人生だと感じました。
人生において無駄な経験など一つもない、と言われたような気がします。

岡崎市にある岩津天満宮には顕彰碑も残されていますので、一度見に行ってみるのはいかがでしょう。
次回もお楽しみに。

【前記事】カクキュー八丁味噌を愛した著名人たち⑦

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時間
9:00~17:00(工場見学は10:00~16:00)
WEB
https://www.kakukyu.jp/
問合せ
0564-21-1355
その他
●定休日:12/31、1/1、1/2
●駐車場:40台
●行き方:名鉄 岡崎公園前駅より徒歩5分
愛知環状鉄道 中岡崎駅より徒歩5分
東名岡崎ICより車で10分
豊田東ICより車で20分
名鉄東岡崎駅よりタクシーで5分/バスで10分
JR岡崎駅よりタクシーで15分
東海道新幹線 三河安城駅よりタクシーで30分

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