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[ 撮影スポット ]
2023.12.18
【康生さんぽ】路地裏を探検しよう!『まちで見つけた、ヘンなモノ大特集』
康生のメインロードを脇に逸れて「路地裏(ろじうら)」に入ってみると、表にはない不思議な魅力が見えてきます。
今回は、古い街だからこそ魅力的な「路地裏探検」をテーマに、歩く中で目にとまった面白いものや変なモノなどを紹介していこうと思います。
康生の超芸術トマソン、「空中へとつづく扉」(東康生)
みどりや本店から裏手に位置する路地へ回ると、スモークピンクのドアのある建物が見えます。
ただ、このドア・・・2階と3階の壁面に設置されています。
一体、なぜなのか。
古い建物には、時々このような「ナゾの空中に続く扉」を見かけることがあります。
建物の増設を予定していたとか?本当は階段があったのに取り外したとか?
きっと、何かしらの理由はあるのだろうけれども。
それでも、今このような不思議な状態にあるのを見ると、少しワクワクしてしまいます。
「超芸術トマソン」という言葉があります。
これは、赤瀬川原平らが提唱した概念で、都市空間のなかで「なぜそうなった?」と首をかしげていまうような、”無意味”な不動産を指しています。
それらは、まるで展示されているかのように異彩を放ち、役に立たないからこそ芸術的な存在感を醸し出している、と。
確かにこの扉は、全く役に立ちそうもありません。
夜中に寝ぼけた人がトイレと間違えて開けてみたら、地面が無かった。
なんて、妙な想像力を掻き立ててくれる以外には。
ビルの壁面から通りを眺める、「くつろぎの美女」(さくらこ。/南康生)
目抜き通りを渡り、南康生の方へ入り込んでみます。
東海オンエアの壁画で有名な、「さくらこ。」のビルの裏側を歩いていると、何となく視線を感じました。
上を見上げると、ショートボブの裸体(!)女子が、気だるげな表情でこちらを覗きこんでいます。
ピンク色のクッション(または毛布)のおかげで胴体部分は見えませんが、投げ出された脚はまさに美脚。
こちらは、現在の「さくらこ。」になる前に、2年間限定のアートビルディング「VASE(ベイス)」だった時の名残です。
若手アーティストたちが、チャレンジショップとしてこのビルを使っていた際、壁をキャンバスに見立てて絵を描いた時のモノだそうです。
古きよき時代を懐かしむ、センチメンタルスポット「珈琲館跡地」。(南康生)
南康生を1号線に向かってさらに下りていくと、オレンジ色の看板が目に飛び込んできました。
「珈琲館(こーひーかん)」の文字がコーヒー豆のロゴと共に、レトロな風合いのフォントで記されています。
もう大昔に閉店した喫茶店だそうですが、近づいてみるとその建物の凝った造りに魅了されます。
2階部分は、大型の白いひさしに覆われていて、1階の濃いブラウン・タイルとの対比がとても綺麗でした。
入口は今では珍しい「半地下」になっていて、隠れ家感が漂います。
昔、一時期にこの半地下スタイルの建築様式がお洒落だと流行ったそうで、70オーバーのおじ様が「オレ、昔よくここに通ったんだよな~」と懐かし気に看板を眺めていました。
強烈な存在感!妄想をかきたてる珍スポット、「そびえ立つ壁」(南康生)
珈琲館のほど近い場所にある、駐車場へとやってきました。
立っている写真の人物の身長は187㎝(バスケ経験者)。
壁の高さは3メートルをゆうに超えています。
側に立つと分かるのですが、壁の表面がザラついた風合いで、背筋がソワソワします。
なんだろう、個性がスゴイ。
なぜあんなに上についているのか分からない横長の窓枠(?)を見上げていると、「もう、ここから脱出できないんじゃないか・・・」と、疑似的な絶望感に浸ることができます。
ごっこ遊びに最適な壁を見つけることができました。
あなたの感性が試される、「石の彫刻が並ぶ道」(中央緑道)
南康生から中央緑道へ抜けると、歩道の脇に石彫が点々と配置されています。
さすが岡崎、特産の御影石(みかげいし)を使った作品群のようです。
写真右から紹介すると、「絆」「親子」「無限」だそう。
昆布じゃなかったのか・・・と思いつつ、付いているタイトルを眺めていると、確かにそんな風にも見えてくるから不思議。
いろんな石彫があるので、歩きながらじっくり鑑賞してみると面白かったです。
ペンズアレイの壁でつくろぐ、「三日月の女神」(籠田町)
中央緑道を突っ切って、郵便局がある通りに入っていきましょう。
ここには、万年筆やガラスペンの品揃えで有名な文房具店・ペンズアレイがあります。
お洒落な建物の入口から向かって右側の壁面を見上げると、三日月に座ってくつろぐ優雅な女神様がこちらを見ています。
康生通りのバーメガネ跡地の2階に寝転ぶ女神のモチーフとは、まるで対のよう。
偶然だと思いますが、頭の形が逆台形で一致しているのも、とても興味深く感じます。
赤レンガのクラシカルな建物は国の有形文化財、「岡崎信用金庫資料館」(籠田町)
ペンズアレイの女神を見学し終えたら、その場でくるりと振り返ってみましょう。
突然目に飛び込んでくる赤レンガの建物は、「岡崎信用金庫資料館」。
平成29年に築100年を迎えたこの建物は、近代建築の第一人者、鈴木禎次氏の設計によって、大正6年に建てられました。
岡崎産の御影石と赤レンガによって織りなされる「フリー・クラシック様式」の建物は、当時、旧岡崎銀行本店として使われていましたが、現在は、日本や世界の貨幣や、全国の郷土色豊かな貯金箱など、「お金」に関する資料館として一般開放されています。
日本近代建築の重鎮である鈴木禎次氏の作品という事で、全国でも有数の貴重な建物として、2008年3月には国の有形文化財に登録されました。
いかがだったでしょうか。
メインロードから一本裏に入るだけで、まちは少し違った顔を見せてくれます。
古い建築や、人が営んだ歴史、これまで目に入らなかった芸術作品など、気にしなければ通り過ぎてしまうようなものが、とても魅力的に思える。
それが、「路地裏探検」の面白さだと思いました。
歩く人によって、目に留まるモノもかわってくるのだと思います。
あなたは路地裏で、何を見つけますか?
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