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2025-02-22

【corin30特集】岡崎市・開市500年記念特集⑤ 岡崎の歴史からみる伝統産業「三河仏壇」「和ろうそく」「岡崎石工」

岡崎市の開市から500年。
康生を中心としたこのエリアは、約500年の長きに渡り、「商いのまち」が続いています。

今回の特集では、岡崎市の伝統産業を2つご紹介します。
「三河仏壇」「和ろうそく」「岡崎石工」が今回のテーマです。
これら3つも、岡崎市の誇る伝統産業でその歴史はとても長く続いています。

ぜひ最後までご覧ください。

【前回の記事】「岡崎市・開市500年記念特集④ 岡崎の歴史からみる伝統産業」を読む

豪華な仏壇を作り上げる確かな技術。そのルーツは神社仏閣の建造に集結した優秀な職人達にあった

豪華な仏壇を作り上げる確かな技術。そのルーツは神社仏閣の建造に集結した優秀な職人達にあった

きらびやかな装飾と、緻密な細工が特徴の三河仏壇。
元禄一七年(1704)頃には製造されていたといわれ、創始者は材木町の仏壇屋庄八と伝えられています。
江戸後期の家並図にも、庄八をはじめ何件もの仏壇屋や、指物師、塗師、彫刻師など仏壇を作る工程に必要とされる職人の名が見られます。
仏壇を作る職人たちが岡崎に現れた理由を推測すると、寛永十一年(1636)頃から、六所神社、大樹寺、伊賀八幡宮などの大規模な造営が始まっています。

江戸幕府主導の国家事業に、優秀な職人たちがこの岡崎に集結したことがきっかけではないのでしょうか。
また、この岡崎が、仏壇仏具の材料となる木材や漆の産地である三河山間部と、矢作川水系の水運で結ばれていること、仏教への信仰厚く、寺院の数が多い、浄土真宗の信者が多い土地柄が、仏壇製作を支えました。そして、経済圏の広がりとともに、岡崎のみならず三河一円でつくられるようになった仏壇は、『三河仏壇』という名称で、昭和五一年、国の伝統工芸品に指定されています。

全国に二十軒ほどしかない和ろうそく業者。そのうちの3件が現在も岡崎にある理由とは

全国に二十軒ほどしかない和ろうそく業者。そのうちの3件が現在も岡崎にある理由とは

天然のハゼの実から取った木蝋に、い草と和紙で作った燈心を使いすべての行程が手作業で作り出されるのが、和ろうそくです。
江戸時代から明治にかけて、寺社や武家向けから庶民にも利用が広がり、多くの業者が製造していましたが、パラフィンを原料とした安価な洋ろうそくの普及とともに専門業者の数も減り、現在では全国に二十軒ほどまで減ってしまったといいます。
その中でも岡崎市内には、現在三軒の業者が和ろうそくを作り続けています。
その理由として、愛知県内の寺院数が全国一位と、周囲のお寺の数が多いこと、さらに、この地域で信仰を集めた浄土真宗では、伝統的に和ろうそくを使うことなど、さまざまな事情が重なることで、今も和ろうそく産業を支えています。
その特徴的な炎の姿は一度見たら忘れられない神秘性を感じさせます。
現在では、和ろうそくの工房見学や、灯火や絵付けの体験など、和ろうそくを身近に感じるための催しが行われていて、宗教的なモノから日常を豊かにするアイテムへと、そのともしびを広げています。

宮金次郎像や神社の参道狛犬といった有名なスタイルは、岡崎の石工が生み出した

宮金次郎像や神社の参道狛犬といった有名なスタイルは、岡崎の石工が生み出した

「石都」岡崎。
市内の山から取れた良質な御影石と、それを加工する多くの優れた職人、またその技術を指導、継承する環境がそろった町だからこその呼び名です。

天正十八年(1590)、江戸へ移った家康公に代わって豊臣方の武将、田中吉政が岡崎城へと入りました。
新たな城主となった田中吉政は、堀や石垣を築造するための石工を、河内や和泉(現在の大阪府)より招き、城下の裏町(現在の花崗町)に住まわせました。
岡崎城の天守や青海堀の石垣は、石工たちの技術力の高さを伝えています。この石工たちが、岡崎の石工の起源のひとつとされています。
江戸時代の岡崎の石工たちは、付近から産出される良質の花崗岩を石灯篭などに加工して、矢作川の舟運によって、近隣はもとより江戸などの都市に出荷し、発展していきました。明治から戦前には、二宮金次郎像や、神社の参道狛犬のスタイルなど、岡崎の石工の創意工夫で生み出されたデザインが日本全国に広がっていきました。

戦後の高度成長期には、機械化が進んだことや自動車での輸送が主流になったことで、市街中心部からの移転が進められ、石工団地が形成されます。
そして、「岡崎石工品」は昭和五十四年八月三日に伝統的工芸品の指定を受けました。
現在でも市内の職業訓練法人岡崎技術工学院では石材加工技術の訓練が行われ、「石屋の学校」で新たな技術者が育っています。


◆文/小辻 裕子さん

「和ろうそく」の歴史を、お店でも体験できる!

「和ろうそく」の歴史を、お店でも体験できる!

今回は岡崎市の伝統産業のうち、「三河仏壇」「和ろうそく」「岡崎石工」についてご紹介しました。

全国的にも数少ない和ろうそくの製造店のひとつ「磯部ろうそく店」。
ここでは、江戸時代からの変わらぬ原料・技法で和ろうそくを造り続けています。

事前予約が必要となりますが、その和ろうそく製造作業風景を見学することが可能です。
また和ろうそくの絵付け体験など、楽しそうな企画も予約受付されています。
長く長く続いている和ろうそくの製造風景から、積み重ねられてきた歴史に触れてみませんか?

体験・見学について、詳しくは磯部ろうそく店HPをご確認ください。

磯部ろうそく店「体験・見学」(外部HP)

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①磯部ろうそく店